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『りんちゃん何で嘘つくの?』
四歳になる娘のりんは最近嘘をつくようになり、私は戸惑っていた。
『嘘じゃないもん本当だもん。』
これもまた嘘。確かな証拠があっても決して認めようとしない。甘やかして育てたつもりは無いのに。
思わず大きな溜め息が出てしまった。
『ママ…』
『認める気になったの?』
仁王立ちで見下ろしてしまう。私だってこの位の嘘なら娘に自我が目覚めたんだと受け止めてあげたい…だが、私にそんな余裕は無かった。
『でもね…じゃんけんさんはいるんだよ?』
『だからそんなくだらない事言ってないで、ピアノのレッスンに行きなさいって言ってるでしょう?』
りんはダンマリを決めている。
『どうせ飽きたんでしょ?続かないから駄目って言ったのに行きたいってダダをこねたのは何処の誰?』
りんによると、最近ピアノのレッスン場の周りで、じゃんけんさんなる小動物が出ると言うのだ。
『…ママはりんが可愛く無いんだ…』
娘はまだ認めようとしない。こっちはピアノの先生から「一緒に入ったお友達が辞めてから来ていない」と連絡を貰ったと言っているのに。
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