桜階段1

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「あぁもう!話し通じねぇな。いいか良く聞けよ?俺んち今大変なんだよ。父ちゃんが変になったんだ。母ちゃんはそのせいで毎日泣いてる。面倒くさいが俺が笑顔に…」 『ほんと…』  女の子は笑顔になった。 「あぁ…って笑う話しか?お前実は信じて無いだろ?」 『うん。さち子待ってる。危ないからゆっくり降りてね…』 「だ・か・ら!まだ登ってもいねぇし、止めるつもりもねぇ!」  何を話しても無駄みたいだった。もう知るか勝手に泣きやがれ。俺は目の前の桜に用事があるんだ。構わず女の子を尻目に登り始めた。 『キャァ…』 悲鳴が聞こえて思わず足が滑る。ドスンと尻餅をついてしまった。 何事かと慌てて振り返るが、女の子の姿が無い。奇妙に思いあちこちを探し回ったが姿は見つからなかった。 「なんだあいつ。変な奴…。」  お尻の砂を払い、今日のところは帰る事にした。尻が痛くて登れそうにないのだ。 確かにあの桜は危ないかもしれない。下の階段が思いの外に固かった。
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