じゃんけんさん

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じゃんけんさん…またくだらない嘘をついた。どうしてここまで酷い事をされているのに嘘をついてまで隠そうとするのか私には理解出来ない。 『またくだらない嘘をついて…』 『違うのママ!お願いだから嘘つきって呼ばないで!拳万の次は針千本なの!ママ…』 溜め息しか出てこない。 『いいから誰がやったか教えなさい!あぁもう痣が残ったらどうするのよ?病院行って見てもらわなきゃ…』 娘の顔を覗き込むと、Tシャツの襟元から複数の痣が見えた。 娘の服を剥ぎ取ってみる。痣は全身についていた。 『りんちゃん苦しくない?大丈夫?今救急車呼ぶからね?』 叱っている場合では無い。骨が折れている可能性も出てきたのだ。私は慌てて家の電話の受話器を取り119を押した。 『娘が!娘が大変なんです!娘が。』 『お母さん落ち着いて下さい。どうしたんですか?』 救急隊員の声に我に返り、娘を振り返る。 娘は裁縫箱をひっくり返していた。何をしたいのかさっぱり分からず、私は動きを止めてしまう。娘は有るだけの針を取り出し、一本つまんで口に含んだ。
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