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『何をしているの!!』
私は受話器を捨て、りんに抱きつき強引に口を広げた。
針は無かった。
『…飲んじゃったの?』
娘は静かに頷いた。
『…あのね。じゃんけんさんがね。ママはりんの事を嘘つきだと思ってるって。』
私は力弱く座り込んだ。
自作自演。私が追い詰めた結果。体の痣もきっと…
『ママ止めて!そんな目でりんを見ないで!針千本の次は指切りなの!』
りんは咳き込み血を少量吐き出した。きっと針がどこかに引っかかって何かを突き破ったんだろう。
『りんちゃん。ママが悪かったわ。パートも辞める。りんちゃんもピアノ辞めようね。ママずっとりんちゃんの側にいてあげるから。お願いだからもう自分を虐めるのは止めよう?』
私はりんの手を取り、放り出したままの受話器に向かった。
隊員の声が聞こえてくる。
私がりんを抱きしめようと小さな手を引くと、ヌルッと生暖かい液体に触れた。振り返るとりんは自分の指を裁断ハサミで切り落とそうと頑張っている。
私は思わずハサミを取り上げ、りんに手を上げた。
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