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『もう大丈夫よ…!?』
りんは私の横腹をハサミでなんども刺してきた。
『なにするの!?』
私は思わずりんを突き飛ばす。りんはすぐに起き上がり私の右手を押さえつけてきた。りんが泣いている。
『ママが悪いんだ。ママが嘘をつくから!りん、こんな事したくないよ…じゃんけんさん…ママを許して…』
りんは泣きながら私の人差し指をハサミで切断し始めた。研いだばかりのハサミは切れ味が良く、肉を越え、骨をガリガリと削り続けている。
ハサミでは切り落としきれないのか娘は暴れる私にしがみつきながらも切り続ける。
『や…止めなさい…りん!りん!止めて!!!ママ痛い!本当に痛いのよ!!』
りんは戸惑っているように見えた。この期に及んでまだ自分では無いと訴えているようだ。
『りんじゃないもん!りんじゃ…止めてよ!じゃんけんさん止めて!ママを虐めないで!約束したのはりんだけだよ!じゃんけ…』
『いい加減にしなさい!!』
娘を剥がそうとするが、とても四歳児の力と思えないくらいに引っ付いて離れない。
ドンドンッドンドンッ
突然、玄関の扉を叩く音が聞こえてきた。
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