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『だが元来旦那さんは大人しく隠れている事が出来ない人間だった。人の目を盗んでは外に出てしまう。』
さっきの近所に見られていたという話を繋げてきた。
『自由の無い生活はイライラをりんちゃんや貴方に当たる事で押さえていた。最初は見えない場所から。段々と目立つ場所にね。』
………。
『貴方はそんな旦那さんを選んだ。だから見ない振りが出来ていた。でも、りんちゃんは?……そう彼女は幼いながらも父親ではなく第三者に暴力をふるわれている。そう思いたかったんだ。』
りん。貴方は父親の影をじゃんけんさんで表したの?暴力の記憶は物心が無くても残ると言うの?あの人は死んだ。りんも私も暴力とはここ一年無縁の生活を送っていたのに…。ねぇ忘れる事は出来なかったの…?
『じゃんけんさんについて調べてみると、りんちゃんの通っていたピアノ教室で小学生が噂話をしていたそうです。』
じゃんけんさんはりんの嘘では無い!?
『じゃんけんさんは小さな動物で、会うと必ずじゃんけんを仕掛けてくるそうで、負けると怖い事が起こるとか、そういう話でした。』
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