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私は看護師に支えられながらベッドに戻された。
『先生…』
意気がっていた私の目頭から熱い涙が静かに溢れてしまう。
『……分かりました。私からも調べてみます。……今は体を直す事に集中しましょう。自覚は無いかもしれないけど君の体だって無事って訳では無いんだよ?』
先生に言われて初めて自分の体を確認する。痣は確かについていた。だがりんに比べると少ない。これならりんが暴れた拍子についただけかもしれない。
『先生…私…』
先生は大きく頷いた。横になり軽く診察を受けた後、私は布団を掛けられ眠るように説得される。
私は心から眠りたくはなかった…だが私の体は芯から休息を求めていた。
数分瞼と格闘した後、私は眠りについた。
りんの無事を祈りながら。
夫との思い出に浸りながら。
あの男に腹を立てながら。
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