じゃんけんさん

22/22
前へ
/59ページ
次へ
急に眩しい光が入り、私は目をしぶしぶと開き始めた。 痛いくらいの眩しさの中に小さな子供の陰が見え隠れしている。 私は一気に目を覚ました。 『りん!りんちゃんなの?』 私は陰を抱きしめる。感触や匂いがりんそのものだった。嬉しい。素直な気持ちだ。だが、嬉しさよりも段々と腹部に鈍い痛みを感じ始めた。 『…りん…ちゃん…?』 息が出来ない。暖かく鉄臭い液体を吐き出してしまう。私は急いでナースコールを引き寄せた。 何度押しても反応が無い。 『ママ…ごめんなさい。じゃんけんさんがね、切っちゃえって言うからね、…切っちゃった…今ママに刺さってるハサミでね…』 りん…信じてあげ… 『ママが悪いの。また嘘ついたでしょう?聞いちゃったの。おじちゃんも嘘つきだけどママも嘘つきだよね?だってりん、ママに首絞められた事あるもんね。…おじちゃん死んじゃった…ママも…死んじゃったね…りんもきっともうすぐ…』 『ねぇママ…拳骨一万回っていっぱい叩くであってたのかな?』 『ねぇママ…針100本ってどこにいけばあるの?』 『ねぇママ…指ってなかなか切れないんだよ?知ってた?』 『ねぇママ…本当に死んじゃったの…?』
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加