桜階段3

2/9
前へ
/59ページ
次へ
ストレスが凄い。胃に穴が開きそうだ。最近は食欲も無いし、睡眠もままならない。 仕事が終わっては、毎日のようにくだらないお笑い番組を見ながら冷えたコンビニの弁当に箸をつける。 仕事に充実感が無かった。小さい頃から憧れていて、意気揚々と入った世界だったが、現実はつまらない雑用しか回ってこない。 生きる目標も目的も失いかけていた。 ある日、職場に小さな雀の遺体が持ち込まれた。手渡され受け取るとまだほんのりと温かい。 話を聞くと目の前で車にひかれ、可哀想だからと拾ったはいいが、どうしていいか分からずに近くにいた俺を頼ってきたらしい。 俺は快く引き受け、職場の裏側にお墓を作る事にした。割り箸に紙を貼り付け[雀のお墓]と書く。 小さなミニスコップと割り箸と雀の遺体を持ち出し、誰もいない裏側に回った。 地面を確認し、小さな穴を掘る。 雀を持ち上げると冷えきっていた。 些細な思いつきだった。 《ミニスコップで骨を砕いてみたい。》 ただ頭に浮かんだけ。そんな感じだった。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加