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「違う父ちゃんはもういないのよ!」
「母ちゃんの馬鹿野郎!」
母ちゃんを突き飛ばし、俺は家を飛び出した。
泣きながら走る。気が付いた時には、あの桜階段の下にいた。それはまるで呼ばれたかのようだった…
階段を照らすライトの下に不気味なじいさんがいて、見事な夜桜を見つめながらぶつぶつ何かを言っている。
するとライトから外れた薄暗い場所に先ほどの女の子がいた。
「何やってるんだあいつ…」
悲鳴を上げて消えた女の子が目の前にいる。これはもしかして不気味なじいさんに何かされたのかもしれない。
面倒くさいが俺は男だ。あの子よりもデカイ。助けなければ…足がガクガクするが、勇気を振り絞って女の子とじいさんの間に入る。
「じいさんこの娘に何か用か?」
『さち子ごめんよ…思い出した時にはこんなに歳を取ってしまっていた…怒っているだろうな…』
『ケン坊…さち子お花のかんむり作れるんだよ…』
『あれは事故だった………すまない…また…言い訳になってしまった』
やばい。ボケ老人と人の話を聞かない女に挟まれてしまった。これは問題ないのか?
「おい!さち子!家何処だ?もう暗いから送ってやる!」
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