桜階段1

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「違う父ちゃんはもういないのよ!」 「母ちゃんの馬鹿野郎!」  母ちゃんを突き飛ばし、俺は家を飛び出した。 泣きながら走る。気が付いた時には、あの桜階段の下にいた。それはまるで呼ばれたかのようだった… 階段を照らすライトの下に不気味なじいさんがいて、見事な夜桜を見つめながらぶつぶつ何かを言っている。 するとライトから外れた薄暗い場所に先ほどの女の子がいた。 「何やってるんだあいつ…」 悲鳴を上げて消えた女の子が目の前にいる。これはもしかして不気味なじいさんに何かされたのかもしれない。 面倒くさいが俺は男だ。あの子よりもデカイ。助けなければ…足がガクガクするが、勇気を振り絞って女の子とじいさんの間に入る。 「じいさんこの娘に何か用か?」 『さち子ごめんよ…思い出した時にはこんなに歳を取ってしまっていた…怒っているだろうな…』 『ケン坊…さち子お花のかんむり作れるんだよ…』 『あれは事故だった………すまない…また…言い訳になってしまった』 やばい。ボケ老人と人の話を聞かない女に挟まれてしまった。これは問題ないのか? 「おい!さち子!家何処だ?もう暗いから送ってやる!」
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