桜階段1

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 俺はさち子をここから連れだして安全な場所まで逃げる事にした。 さち子の腕をつかもうと手を伸ばしたが何にも当たらない… 「うわぁ!!!!!!」  俺は驚いてじいさんにぶつかった。だがじいさんの感触も何も無い。あっさりと通り抜けてしまった。 「おい!何をしている?」  自転車のブレーキ音と共にお巡りさんが駆け寄ってきた。 「そ…そこにいる。じいさんとさち子が!」 「はぁ?何処にいるんだね?」 「そこだよ!そこ。」 お巡りさんは辺りを見回している。本当に見えないのか? 『ケン坊にあげるね…』 『この桜は切ってしまおう…君の二の舞は誰にも踏ませないよ…』 「大人をからかうとは何事だ!もう良いからお家の人に迎えに来てもらうから署まで来なさい。」 「は…い。」 俺は意味が分からなかった…。 ただ自転車とお巡りさんは触れる事が出来た。今はそれだけで安心出来る。振り返ると二人は消えていた。  署に着くとお巡りさんは温かいココアを入れてくれ、母ちゃんに電話した後、俺の話を最後まで聞いてくれた。 まず、父ちゃんの事。母ちゃんに桜階段、女の子とじいさん… 聞き終わった後、お巡りさんが口を開いた…
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