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俺はさち子をここから連れだして安全な場所まで逃げる事にした。
さち子の腕をつかもうと手を伸ばしたが何にも当たらない…
「うわぁ!!!!!!」
俺は驚いてじいさんにぶつかった。だがじいさんの感触も何も無い。あっさりと通り抜けてしまった。
「おい!何をしている?」
自転車のブレーキ音と共にお巡りさんが駆け寄ってきた。
「そ…そこにいる。じいさんとさち子が!」
「はぁ?何処にいるんだね?」
「そこだよ!そこ。」
お巡りさんは辺りを見回している。本当に見えないのか?
『ケン坊にあげるね…』
『この桜は切ってしまおう…君の二の舞は誰にも踏ませないよ…』
「大人をからかうとは何事だ!もう良いからお家の人に迎えに来てもらうから署まで来なさい。」
「は…い。」
俺は意味が分からなかった…。
ただ自転車とお巡りさんは触れる事が出来た。今はそれだけで安心出来る。振り返ると二人は消えていた。
署に着くとお巡りさんは温かいココアを入れてくれ、母ちゃんに電話した後、俺の話を最後まで聞いてくれた。
まず、父ちゃんの事。母ちゃんに桜階段、女の子とじいさん…
聞き終わった後、お巡りさんが口を開いた…
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