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「それで…それでどうなったんだよ!」
お巡りさんは悲しい顔をして続けた。
「さち子は死んだ。ケン坊は助かった…。ケン坊を気付かって二人の親御さんは町から出ていったんだ。…それから六十六年後、今から六年前、ケン坊がやってきて今の話をお偉いさんにした。そして一年後、桜は切り落とされたんだ。」
「…。」
話がつながった…
だから話が通じなかった。
だから触れなかった。
だから見えなかった。
だから消えた。
そしてやっぱり父ちゃんも…。
俺は泣いた。恥ずかしいとかもうどうでも良かった。
母ちゃんが迎えにきた。母ちゃんも泣いている。二人で帰り道にあの桜を探すともう其処には薄暗い階段しか無かった。
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