独り言③

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君が僕の部屋に来た 何日ぶりの事だろう? 真面目な顔して どうしちゃったのさ? TVも音楽も消して 雨音だけが部屋に響く。 沈黙が嫌で 何か言葉を探してたら 『あのね』って 君の可愛い声が震えてた。                    『友達に戻りたいの』 君の一言は 雨音が消してくれたら 僕は泣かずに済んだのに。 『眠るまで傍に居て』 僕の最後のお願いだから。 布団に入って 手を握るのも きっとコレが最後なんだ。 僕は寝ない!って… この夜は永遠なんだ!って 思ってた。 でも 君の暖かい手の温度に 僕はいつの間にか 寝てしまってた。                    朝、目が覚めたら やっぱり君は 居なかったんだ。 こんなに寂しい朝は 生まれて初めてだよ。 君の柔らかな髪を ずっと撫でていたかったのに。 君はもう居ない。 晴れた朝だった。                    あの夜を今も思い出すんだ。 今日みたいな 静かな部屋に 雨音だけが響く夜は 何だか眠れなくて 思い出してしまうんだ。                    ただの、失恋話を。
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