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「初めまして。私が光の街を創った創造者(クリエイター)だ。君達二人の存在は、私の悲願を成就させるためには欠かせなくてね……是非とも協力してもらいたいのだよ」
瞬間移動のような感覚を二人が味わったのも束の間、彼らの眼前には例の男が現れていた。
全てを見下す視線はそのままで、彼は微笑んでいる。
「光の街はどうだったかね、少年よ。お気に召したかな?」
「残念だけど、気に入らなかった。平和だけど、皆苦しんでたから」
男は否定的な答えが来ることを予期していたようで、特に表情も変えずに頷いた。
次に、男は少女の方へ視線を向ける。
「君はどうかね。平和な世界の中では、君の負の感情も居心地が悪かっただろう?」
「多少はね。でも、あれが平和だと思うんなら、それは大きな間違いよ。箱庭を見下ろす支配者に、住人の気持ちなんか分からないでしょ」
少女の言葉も、非常に辛辣なものであったが、男は納得したように細い声を出した。
「それは一理あるな、反省しよう。まあ、それはひとまず後回しだ。少年、君はこの『平和』では満足できないのかね」
彼は再び、少年の方に視線を向ける。男の問いに、少年は頷いた。
「何故気に入らないんだね? 私は、約束した通り争いのない世界を創ったというのに」
「約束?」
少年は首を傾げる。その様を見て、男は苦笑した。
「分からなくてもいいのだよ。事実に沿って言えば、君とは何も約束していないのだから。ただ、認めてほしいのだ」
「何を?」
「私の軌跡を」
男の言葉は、少年には理解が難しかったらしい。それも予期済みだったのか、男は頷いた。
「君は知らないのだね。ならば、教えよう。私の名はレードリー。君は、我が親友スレイヴの息子だ」
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