好きになっちゃいました…祥子の場合

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彼の名前はユウキ。 私が彼と知り合ったのは 私のバイト先の近くのコンビニ。 ユウキはそこでアルバイトをしていた。 背が高くて綺麗な顔をしてる子がいるなぁと遠目に見ていたんだよね。 いわゆる一つのオバサンの目線ですな(笑) レジに並んで清算する時に間近でユウキを見たんだけど 綺麗な顔からは予想できない日にやけたごつい男の手をしていたの。 思わず、もう一度ユウキの顔を見てしまった…というより背が低い私はレジのカウンター越しに見上げた。 この綺麗な顔にこの男らしい手…この手で抱きすくめられてこの顔でkissされたら…なんて一瞬で妄想しちゃったわよ(照) 「952円になります、千円からでよろしいですか?」 ユウキは私とは目を合わさず 会計を済ませた商品を袋に詰めようとした。 ここで思わず、主婦根性が出ちゃって… 「あっ袋はいらない、これに入れて…」 エッチな妄想から我にかえって いつも持ち歩くマイバックを取り出した…時に自分の買った物を見て愕然! 昨日から熱っぽくて食欲がなかったから ドリンク剤(それもちょっと効き目の強い高価なヤツ)と カロリーメイトと眠気覚ましのガムだった。 とてもランチタイムの女が買うもんじゃないよね? そう思ったら急に恥ずかしくなったよ。   焦ったらお釣りの小銭をばらまいてしまった。 「あっ!すいませんっ」 反射的にユウキが頭を下げた。 小銭はカウンターの下にも入ってしまったようで見つからない。 後ろのお客さんはイライラしてるのがわかるし。 6円が見つからなかったけど、もういいや。 「あの、もういいですから、もし見つかったらこれにでも入れてくださいっ」 私はレジ横に置いてある募金箱を指差して言った。 普段は募金なんて興味ないくせにさ(笑) 「ありがとうございますっ!」 その時、初めてまともにユウキと目が合った。 うわっっっ! なんて綺麗な顔なんだろ? ヒゲなんて見あたらないし…。 こんな男の子いるんだ…。 多分その時の私は 気分は女子高生だったよ 気分はね。 顔が熱くなったのはきっと 熱が上がったせいじゃなくて ユウキに恋する気持ちが上がったせいだ…と思った。   そそくさと職場に帰った私は パソコン入力のアルバイトをしながら 頭の中はさっきの店員の顔を思い出していた。 名前…見とけばよかったな…。
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