好きになっちゃいました…祥子の場合

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それから何日か そのコンビニに通った。 あの店員がいないかキョロキョロしながらね。 でもシフトが不規則なのか あれから会えなかった。   半月後 私は友人の子供の結婚式に呼ばれた。 単身赴任から帰った夫と 久しぶりにおしゃれをして…。 私は自慢じゃないけど 自慢したいことがあるのよ。 それは 気合いを入れておしゃれするとなかなかの女になれる。 年齢もごまかせるくらいにね。 大学生の頃 親に内緒でスナックでバイトしてたことがあってね。 その時に身についた 女っぷりを上げるテクニックが 今も役立っているみたい。 まぁ…おしゃれしたって見せる相手が夫くらいのものだけど。   披露宴も終わり 夫の運転する車で帰る途中 あのコンビニに立ち寄った。 喉が渇いた私が お茶がほしくて。 店内に入った私は あの店員のことはすっかり忘れちゃっててね。 何も考えずに お茶とそれからまたあのドリンク剤のビンを手に レジにむかおうとしたの。 でもね…なんだろ…誰かが見てる気配がして… 視線を感じるほうを見た。 「あっ…」 しっかり視線が合っちゃった。 あの店員、ユウキだ。 私は思わず頭を下げちゃった。 なんでだろ? ずっと会えなくて まさかいるとは思わなかったからびっくりしたわ。 でも びっくりしたのは私だけじゃなかったのね。 ユウキもじっと私を見てた。   レジに並ぶと ユウキがもう一つのレジをあけた。 私を呼んでる気がして そっちに並びなおした私。 「あの…この前、小銭を落としちゃった人ですよね?」 「うん、そうだよ」 「あれ見つからなくて」 「いいよぉ、たった6円じゃん」 「あの…最初はわかりませんでした、あの時とは全然違ってて…」 「やっぱり?結婚式の帰りだからね」 私はちょっとうれしかったよ。 だって これはほめ言葉だよね? 「あ…お疲れなんですか?」 ユウキは私のドリンク剤を見て言った。 しまった! またドリンク剤だ。 いくらおしゃれしててもこれじゃあね…。 「違うよ、これはご主人様の…」 そう言って夫が乗っている車をアゴでさした。 「あぁそうですか」 私はなんとなくこれはチャンスだと思ってさ 聞いちゃった。 「ここは何曜日に?」 「シフト?不定期で今度は明後日です」 「そう…じゃまた来るわ」 私はしっかりと名札を見た。 『ユウキ』 おぼえたよ(*^-^)b
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