―刀の鞘を持つ女―

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ある山の山道の中――。 笠を被り、刀の鞘だけを持った女がいた。 女はただただ気の向くままに歩みを進めていた。 ――と。 「おやぁ・・・」 ふと何かを察したように、空を煽った。 「こりゃ、匂うねぇ」 そうポツリと洩らし、歩を進めた。 やがて見下ろせる角度に村が見えた。 「勿体無いねぇ。濁ってなかったのに」 女は村に向かって、ゆったりとした足取りで斜面を下って行った。 
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