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「半分当たりっていうのは、そういう事さね」
灯は笑みを絶やす事なくにそう言った。
「ただ『殺気に』当てられてはいない」
健太は灯の言葉を頭で反復した。
と其処で、唐突にある言葉が頭の中に浮かび上がってきた。
「もしかして・・・」
健太は姉が言っていた言葉を思い出す。
確か灯は、鞘で自分の――。
「『殺気に』当てられてるんじゃなくて・・・『妖気に』当てられてるって事」
灯は「おっ」という顔をして、
「健太にも分かってきたのかね」
と、肯定の意を表しながら言った。
「そう、はずれっていうのは『殺気に』と言うトコロさね」
灯はさも愉快そうに言う。
しかし、また新たな疑問が健太には出てきた。
「でも昨晩とは何か違う感じがするんだけど・・・?」
先程は、気がおかしくなるというか、己が分からなかったというか。
だが昨晩は『恐怖』と言うものに、身体を巻き付かれた様で動けなかった。
健太のその問いに、灯は「う~ん」と悩んだ。
そしていぶかしげに健太を見やる。
「それは多分、夜中だったからじゃないかい?夜闇は人に恐怖を与える」
健太は成る程と納得し、一つ頷いた。
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