―刀の鞘を持つ女―

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後頭部に激痛を感じながら、健太は何事かと振り返った。 其処にいたのは――。 「おっ、お袋!?」 健太の母親であった。 「健太!あんたまた、お澄(すみ)ちゃんのお尻触ったんですって!?」 健太の母親にしては若く、笠を被った女よりは五、六つ年を取った感じの女。 否、健太の母親が怒りの形相で立っていた。 「だって、あいつがよぅ・・・」 「言い訳無用!」 今度は健太の頭のてっぺんに、鉄拳が落とされた。 「っってぇぇえぇぇ!?」 健太は村中に響く程の大声で痛みを表す。 「ったく、あんたは・・・!」 とここで、 「クククッ・・・」 笠を被った女がさも可笑しそうに笑い声を口から洩らした。 女が居たという事に今気付いた健太の母親と、健太は、怪訝そうに女を見た。 その二人の目線に気付いた女は、笑い声を抑えながら、弁解の言葉を口にした。 「ああ、悪いねぇ。何だか可笑しくてねぇ」 「嫌だね。変なトコ見られちまった」 健太の母親は恥ずかしそうに、赤らいだ頬に手を添えた。 そんな母親に、女は笑みを溢しながら尋ねた。 「そだ、ちょいと良いかい?」  
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