59人が本棚に入れています
本棚に追加
後頭部に激痛を感じながら、健太は何事かと振り返った。
其処にいたのは――。
「おっ、お袋!?」
健太の母親であった。
「健太!あんたまた、お澄(すみ)ちゃんのお尻触ったんですって!?」
健太の母親にしては若く、笠を被った女よりは五、六つ年を取った感じの女。
否、健太の母親が怒りの形相で立っていた。
「だって、あいつがよぅ・・・」
「言い訳無用!」
今度は健太の頭のてっぺんに、鉄拳が落とされた。
「っってぇぇえぇぇ!?」
健太は村中に響く程の大声で痛みを表す。
「ったく、あんたは・・・!」
とここで、
「クククッ・・・」
笠を被った女がさも可笑しそうに笑い声を口から洩らした。
女が居たという事に今気付いた健太の母親と、健太は、怪訝そうに女を見た。
その二人の目線に気付いた女は、笑い声を抑えながら、弁解の言葉を口にした。
「ああ、悪いねぇ。何だか可笑しくてねぇ」
「嫌だね。変なトコ見られちまった」
健太の母親は恥ずかしそうに、赤らいだ頬に手を添えた。
そんな母親に、女は笑みを溢しながら尋ねた。
「そだ、ちょいと良いかい?」
最初のコメントを投稿しよう!