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ハル「ねぇー、みんなで写真とろっ!!」
私の前に座っていたハルが後ろを向いた。式の間も落ち着きがなかったハル。
ハルとの2ショットやクラスの仲間と写真を撮った。
(アキトとも写真とりたいな…。)
卒業式というノリもあったせいか、私は思っていたよりごく自然にアキトに声をかけることができた。
「一緒に写真撮ろ~!!」
さすがに2ショットは気がひけるので、私の後ろの友達にも声をかけて四人で撮ることにした。
レンズを自分の方に向け、短い手を一生懸命伸ばしてシャッターを押す。
「ハイ、チーズ!!」
アキトとの距離が近い。
周りに人はいっぱいいるのに、私は撮影を人に頼まずあえて自分で撮った。
アキトとの距離が近くなった自分の顔を、レンズ越しに他人に見られたくなかったのだ。
きっと緊張して変な顔になっているに違いない。
それでも一緒に写真を撮れた事、声をかける事ができた自分に満足していた。
この席になれた「幸せな偶然」に感謝。
約二時間半の式典は卒業生の退場と共に終わった。
私は泣くことはなかった。
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