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マグカップにポットの熱湯を少しだけ注ぎ、濃いめのコーンスープを作る。
「パンの耳は残さないで、ちゃんと食べなさいよ」
母のその言葉はいい加減聞き飽きた。
言う通りにしないって分かってるくせに。
ミーは食パンの耳を丁寧に剥いて、あっとゆう間に四角い真っ白な食パンを作り上げる。
そこにマヨネーズをスプーンの裏で塗って、指で千切って少しずつ口に運ぶ。
口の中にパンを含ませたまま、丁度良い温度になったコーンスープを流し込むと美味さは倍増だ。
相乗効果ってヤツかな?
口の中で小さな化学変化が起きてる感じ。
指の腹に付いた食パンの屑を軽く払い、手を合わせて“ごちそうさん”と言って食器を台所に運んだ。
残したパンの耳は亀のタロキチの朝食にするために水槽にバラ撒く。
食べてるとこは見た事ないけど、学校から帰ってきたら無くなってるし、いつか食べてるはずさ。
鏡を見て髪をセット。
とはいってもボサボサの髪を手グシで整える程度。
鞄に筆箱とノートと眼鏡とお菓子を、ポケットには財布を突っ込む。
折り畳み式の小さな自転車に跨がり、ペダルを漕ぐ度に朝の冷たい風を全身に浴び、眠っていた細胞達が目を覚ますようだ。
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