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「――ぃ、…きろよ」
声がする。
はっきりした声だ。
「な…きろ……よ」
頭を揺さ振ってる。わかる。
揺れる度に頭がズキズキと痛む。
「…なぁっ起きろ!」
「ぅ、ん…」
ズキズキと痛む頭を押さえながら上体を起こす。雫はそんな痛みに堪えながらも声の主を探す。
「(…男の子?)」
雫が見上げた先に見えるのは、金髪に緋色の瞳の少年の顔。何とも言えないぐらい、綺麗な顔だ。
「オィ、起きたか?」
「あ、はい。っつ!」
「お、おい。あんまり頭を動かすな」
(アンタは言えないだろ)と思った瞬間に、ズキンと又頭痛がした。
「…ホラ、立ち上がれよ」
「…は、はい」
黙って少年は歩きだす。どうすれば良いのか判らず、取り敢えず雫は少年についていった。…歩く度に、頭痛がする。そんな痛みに堪えながらも、雫は少年の後ろについていった。
「あの…お名前は?」
「人の名前が知りたいならまず自分の名前を名乗れ」
「あ、そうですよね。ゴメンなさい。…私は謳野 雫です」
雫はそう言って自分の手を少年の前に差し出した。少年はニっと笑って、その手を握り返す。
「俺はジュン・キサラギ。…名前的にアンタは日本人か?」
「そうです。キサラギさんはドコの国の人なんですか?」
「俺はキサラギ人だ。特に出身国はない」
雫は一瞬、耳を疑った。(キサラギ人って…なに?)雫が戸惑うのも無理はない。キサラギ人とは、雫の住む世界では居ない人種なのだから。
「えーと…キサラギ人?」
「うん」
「聞いた事ないんですけど…」
「…! アンタ、魔法人種(マジックリース)の日本人じゃないのか!?」
「まじっくりーす…?」
何がなんだかわからない雫。そんな雫をみて、ジュンはこう言った。
「しゃぁねぇ…。学長に判断してもらうとするか。謳野、一緒に来い」
「あ、はい。わかりました」
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