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リコリスは思い出す――
アマリリスとネリネはずっと同じ運命を繰り返してきた。
それは遠い遠い昔から。
変わらない運命に抗うことも敵わず、その命を散らす。
「彼らがあの運命を繰り返しているのは、何故だったかしら?」
暗い階段を上がっていく中、リコリスは男の腕の中で呟いた。
「それは彼らがいくつか存在した選択肢からその運命を選んでしまったからですよ」
諭すように男はリコリスに告げる。
「そして、貴女も私も」
「レウコユムも?」
「ええ。私もこの運命を選びました」
レウコユムと呼ばれる男はふっと微笑む。
「貴女という花を愛してしまったのですから」
リコリスはそっと目を伏せる。
「そうね、レウコユム」
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