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ある日、アマリリスが道を歩いていると森の近くにそびえる大きな廃墟から一人の少女の微かな歌声が聞こえた。
その声は二階の割れた窓の奥、白いカーテンに隠れた奥の方から聞こえた。
「ねえ、あの廃墟は何なのかしら?」
アマリリスは親しい友人たちに廃墟のことを尋ねた。
「さあ、わからない。でも、もう人は住んでいないでしょうね」
口々にそう言われ、アマリリスはやっとあの廃墟が無人でないことに気づいているのは自分だけなのだと知った。
それからアマリリスはあの廃墟にいる少女のことが知りたくて仕方なくなった。
「あなたは誰……?」
届くはずもない廃墟の奥に向かい、アマリリスは毎日そう問いかける。
そうやって過ごす日々が続いた。
だがアマリリスは思い切ってその廃墟の中に入り込む。
アマリリスが微かな足音をたてながら階段を上がると、先に続く廊下を突き進んだ。
そして突き当たりの部屋に足を踏み入れれば、アマリリスが気になって仕方なかったその少女が荒れた部屋の中にいた。
まるで少年のような姿をしたネリネという少女が突然現れたアマリリスに驚いていた。
そうしてアマリリスとネリネは出会った。
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