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それは敵の陣に斬り込んだ時に目に入った。敵将らしき男が犬につける首輪をつけた少女を引っ張って喚いていた。
「さっさと来い!おまえは高かったんだ!」
レイスが近づいても敵将は気付かない。
「逃げる時は余計な物を持たないことだな」
言って敵将を後ろから斬りつける。
敵将も気付いて振り向きざまに短刀を投げた。
短刀はレイスの頬をかすめる、しかしレイスの剣が敵将の体に入る方が早い。
敵将は「卑怯な…」と、そう言って息絶えた。
レイスは少女を見る。
年は16才ぐらい、肌は白いが黒く長い髪に黒い瞳…あきらかにこの近辺の国の人間ではない。
レイスは頭をめぐらせる。
産まれてからいままで髪と瞳が黒い人など見たことがない。《だから奴隷として高かったのか?》とレイスは敵将に同情して心の中で笑った。
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