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男達が、近づいてきたロイに目をやる。
分が悪いのは明らかだろうに…と顔には出さず心の中でレイスは苦笑した。
レイスは魔法を使わずに長く戦場で生きてきた。
そのため魔法を使われた時の対抗手段も用意している、魔法を使えるだけで満足している兵とは質が違いすぎるのも当たり前だった。
ロイも剣の腕こそ低いものの、魔法では上位に入る。
それも三本の指に入るほどに強いのだ。
「どうする?まだやるか?」
ロイは男達を見て、殺気を放ちながら笑うという器用な事をしている。
「くっ…覚えてろよ!」
悪役の捨て台詞を残して男達が早足に兵練場に入っていった。
「だから嫌なんだよ…面倒にならなきゃいいが」
ロイがそう呟く。
「…」
あぁ、面倒な事になるな…とレイスは思う。
けれど…瑠璃が無事だった、それだけで十分と思う自分も居る。
「はぁ…」
レイスは、昔誰かに言われた事を思いだす。
「誰かのために体張れるなら、そいつの人生は最高なのかもな」
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