8人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章『序章』
2004年…兵庫県南部、明石市。JR明石駅・ホーム。
『あー、今日から姫路に住むんやなぁ。』
『先々どんなことが待ってるんやろか…。』
『俺、ちゃんと一人暮らし出来るかな…』
午前9時、ホームにてスーツ姿でそわそわしながら姫路行きの新快速の電車を待っている18歳、男。
彼の名前は『ケン』
兵庫県内の私立高校を単位ぎりぎりで卒業後、学校斡旋で目的も無しにノリ半分で面接に行き、受かった先が姫路の印刷会社だったのである。
当然、将来何がしたいかも分からず一人暮らしをしようとしている。正直探せばどこにでもいそうなシンプルな18歳。
まさにホームのベンチに座りこもうとした時…
『まもなく…三番乗り場…姫路方面…新快速が…止まります…足元の黄色い線の手前でお待ちくださいますよう…』
耳をつんざくような電車のブレーキ音とベルと共に、ケンにとって大きな未来へと続く扉が開いた。
最初のコメントを投稿しよう!