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外に出ると、身を切るような寒い風が吹いていた。
ケン『ここに来て、ちょうど一か月か。』
二階の手摺りから道路を見ると、少し霜が降りているのが分かった。
時計代わりに携帯を見た。すると…
―不在着信、6件。
ケン『誰やろ…?』
携帯を開けた。
着信履歴を見る。
岡田くんから一件着信があった。
他の5件の履歴は全部―
マキからだった。
何か胸騒ぎがして―
岡田くんよりも先にマキに電話を入れる。
(プルルルル…ガチャ)
『…ケン?』
マキの鼻をすする声が電波を伝ってケンの携帯の受話部分からもれる。
ケン『どうしたん?』
マキ『ケン…今どこ?』
ケン『今アパートの二階におるよ』
その瞬間、二階のアパートの1番端のドアが開いた。
その中から、携帯を持ちながらコチラを見ている人がいる。
…この前より少しやつれたマキがそこにいた。
マキ『うう…ケン…』
ケンの姿をみるなり、ドアの前に倒れこむマキ。
ケン『おい!大丈夫か!』
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