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マキの部屋から、塗装屋でよく嗅ぐ臭いがする。
それと、マキの左腕の手首から血が滲んでいて、掴んだ俺の右手に血がついているのが分かる。
とにかくマキを部屋へ戻した。
部屋に入ると、プラスチックの容器とガーゼみたいな物が部屋の所々に転がっている。
ケンはマキの部屋の窓を全開に開け、換気する。
冬の冷たい風がマキの部屋を漂わせる。
マキは無気力に足を両サイドに広げ、顔を下に向けて座っている。
幸い手首の傷は結構浅かったため、近くにあったガーゼと、ケンの部屋からテープ持ってきて、マキ左腕を心臓より高く上げ、応急処置をした。
ケン『次こんなことしたら…こんなことしたら…俺…キレるからな…』
ケンの目から涙がこぼれていた。
その後、マキは自分の全てをケンに話した。
ケンが疑問に思っていた『アレ』とは、シンナーのことで…
以前マキと一緒にいた黒のセルシオの男―
あの男は、マキが大阪の高槻に住んでいる時からタダでシンナーを与えて
いた地元の先輩だと言うことが分かった。
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