第二章『出会い』

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それから約15分後…     『すみません。ここ久々に来るから少し迷っちゃいましたよ。君がケン君ですか?』   先程、到着の電話をした相手の毅然たる声が生で聞こえる。声のする方へ顔を向けると、中年のハゲたオッサンがコチラへ歩み寄ってくる。仕事先の先方がようやくやってきたようだ。     『申し遅れました。わたくし、ニッポン印刷の人材担当の谷川と申します。』   慣れた手つきでケンに名刺を渡す。     谷川『じゃあ、早速部屋へ案内します』     ケンがこれから住むアパートは二階建てで、一階、二階共に10部屋あり、建物の横に、一階と二階を繋ぐ階段が一つある。ケンは一階の右から五番目"105号室"へ案内された。     ちなみに先程マキは、横の階段を駆け登って二階へ行ったので、おそらく二階に部屋があるのだろう。とケンは一瞬ふと思った。     ケンは谷川さんからカード制のカギを貰い"105号室"のドアを開ける。     扉を開けると、リビングらしき部屋へ続く狭い廊下があり、廊下の途中、キッチンとリビングをドアで仕切っている。そのドアの手前左手に冷蔵庫と小さなキッチンが見える。     部屋に上がると、キッチンの手前の左手に少し通路があり、通路の奥に洗濯機、トイレ、風呂が別々の部屋にあり、風呂場に洗面所がある。     (スゲー!洗濯機あるし!ラッキー♪しかも風呂にカワックついてるやん♪しかもユニットバスじゃないし♪)   次第にケンのテンションが上がる。     ケン『廊下の奥の部屋、見ていいですか?』   谷川『はい。どうぞ。』     ケンは1番奥の部屋へ続くドアを開いた。
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