最終章 ~柿の種、記憶の中で~

2/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
ケン『なぁ、マキ。』     マキ『ん?』       ケン『あの日…』   『マキは何故あの約束を…?』     マキ『約束?』     ケン『ほら…別れたら最後にデートしよなって言ってたやつ』     マキ『あ…あ~あれか♪理由かぁ…今はもう恥ずかしくて言われへん♪(笑)』     ケン『何よそれ(笑)じゃあさ…』     ケン『マキはなんで俺の元を去っていったん?』   ケン『同棲してる時、ホンマに俺の事好きじゃなかったん?』     ケンは、勇気を出して聞いてみた。     ケン『理由、教えてくれへんか?』       マキ『それはね…』             マキ『ケンの事…同棲するうちに…ホンマに好きになってきたんよね。ずっと一緒にいたいってずっと素直に思ってた…』       ケン『じゃあさ、布施さんと家来た時、俺の部屋にそのままおればよかったのに…』         マキ『出来れば…ケンと一緒にいたかった。でも…あの人は怖すぎた…。ホンマにあれ以上、ケンに迷惑かけたくなかったからさ…』       ケン『金は貰ったんか?』       マキ『ううん。布施さん、関東に帰ったらしいし、やっぱり自分で何とかする。あとどのくらいかかるか分からんけど、ちょっとずつでも、知り合いに返済するつもり。』       ケン『そっか…やっぱ自分のケツは自分で拭かんとな、がんばれよ、マキならやれる、大丈夫よ。』     マキ『ありがと…ねぇケン…』       ケン『…………?』       マキ『ヨリ、戻せないかな…?』       ケンだって本当は今でもマキの事が好きだ。         ケンの結論は一つだった。         ケン『あかん。』       ケンの気持ちとは裏腹に、目一杯無理をして絞りだした結論が、こうだった。         正直、まだヨリを戻すタイミングではなかった。       だからケンは、こう言った。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!