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ウ゛ウ゛ウ゛…
携帯のバイブ音が室内に響く。
手を伸ばして見てみれば、そこには思った通りの名前。
『悪い。明日急に練習試合入ったから行けねーや』
……明日は久々に準太に会える日だった。
学校も違う榛名と準太の忙しい中やっと都合がついた日、だったのだ。
わかった、とだけ返し、携帯を閉じる。
「…しょうがねぇ、んだ。、アイツいねぇと試合回らねぇしよ…」
本当は駄々をこねてイヤだと言いたい。
本当はずっとお前といたい。
それでも榛名には試合がどれほど大切かわかっていたから、それでも榛名にも都合があるから。
わかっている、学校の違う中、準太と出会い、ましてや付き合うまでいくことの方が奇跡だ。
…叶わないことの方が多いことも。
それでもこの距離を憎まずにはいられなかった。
ウ゛ウ゛ウ゛……ウ゛ウ゛ウ゛…
二度目のバイブ音が鳴る。
今度は少々長い。
―着信、か?
携帯を掴み、画面を覗けば“高瀬準太”の文字。
急にドキリ、として、緊張で震える手で恐る恐る通話ボタンを押す。
「何だよ、」
ぶっきらぼうに言えば、
『うわっ、早速お怒りか』
携帯越しに聞こえる心地好い声。
『悪かったな、本当。急に試合入っちまってさ。』
「別に、気にしてねぇ」
我ながら棘のある言い方だと思った。
『拗ねんなよ』
「拗ねてねぇ」
案の定返ってきたのは困ったように笑う音。
あぁ、俺って本当可愛くねぇ
自分で自分を嘲笑すると、不意に準太が話した。
『なぁ、星が綺麗だぜ』
「………」
『、榛名?』
え、今こいつ何つった?…星が、綺麗…?
「………く、ぶわはははははっっ‼‼‼」
『Σな、なんだよ⁉』
「だ、だってお前、星、綺麗…ぶわははっ似合わねェッ‼」
『う、うるさいなっ❗良いから外見てみろよ』
「なんでだよ、星なんてどうでもいいし」
『良いから良いから❗』
「……しゃーねーな」
なんだか必死だったから言う通り窓を開けて空を見上げる。
「開けたけ…」
「榛名」
「え…?」
今、下から声…聞こえなかったか?
「榛名、」
ほら、やっぱり…
恐る恐る下を見てみる。
「じゅん、た…?」
「榛名、」
そこにはやっぱり予想通りの人がいて、それでもやっぱり信じられなかった。
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