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俺は亡霊、あの日から亡霊になった。
父さん、母さん、姉さん。
みんな残酷に殺された。
何の力も無かった俺はどうすることもできず、ただ逃げ惑い、
一人だけ生き延びた。
その罪が鎖にとなって足元に巻き付いている。
けど、アイツには見えている。
俺の鎖は、足だけではなく、本当は…
身体中に巻き付いているのが。
いつまで歩き続けなければならないのだろう。 こんな恥ずかしい姿をさらしながら…。
暗い闇の中眩しいモノが飛び込んできた。熱いヒカリのかたまりが、一瞬闇を照らし、すぐ燃え尽きる。
熱い?眩しい?
あれは、太陽だったのか?
「太陽」…どんなものだったかな?よく覚えいない。
まるくて、まぶしくて…?
あぁ、思い出した。
むせかえる血の匂い、肉を焼く黒い煙り。
俺の目の前で世界は真っ赤に染まっていった。
あれが最後に見た太陽だった。
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