16人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
ウサギの顔は強張っていました
「あっ…ごめんね。」
「そこに罠があるんだ…」
男の子が足元を良く見ると赤くにじんだ金属の輪が隠されていた
「ウサギさん、ありがとう。」
ウサギは首を振って
「うぅん…君が傷付く所を見たくないから…。僕のお母さんはそれで連れて行かれたんだ…。」
罠を避けて通ろうとすると
「待って、来ないで!」
ウサギはさっきよりも凄い剣幕で叫びました
「うわっ…また罠かい?」
ふるふる
ウサギはゆっくり首を左右に振りました
「君達には近づいて欲しくない…」
「…僕は…僕はこの罠を置いた人みたいに君を捕まえたりしないよ…」
男の子はウサギの言葉に傷付きながらも必死に言いました
「もしも…僕たちのセカイが同じなら…きっと、僕と君は良い友達になれたかもしれないのに…」
ウサギは寂しい声で呟くと背中を向けて
また足場の悪い地面を走り抜けて行きました
男の子は心が苦しく感じ、その場に座り込みました
最初のコメントを投稿しよう!