夕日はもう見れない(物)

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「なぁ。」 「うん?」 「あたし、もうすぐ戦争しに行くよな」 「ああ」 「もう・・・逢えなくなるんだよな?」 「ああ、多分な」 「だったら、なんでそんなに平気でいられるんだよ!?普通にしていられるんだよ!?淋しくないのかよ、あたしがいなくなっても」 「んなわけじゃねーよ」 「じゃあ、どうして」 「・・・信じてるからだよ」 「え?」 「おまえにまた逢えるって信じてるからだよ。そりゃ悲しいよ、何でも話せる友達(ダチ)に逢えなくなるんだからな。でもよ、もしかしたらまた逢えるかもしれねーじゃねーか。俺はそれを信じてるんだよ」 「・・・」 「こっ、こんなハズカシイコト、俺に言わせるんじゃねーよ!!!」 「・・・ありがとう。」 「えっ?」 「そう信じてくれて、ありがとう。」 「・・・おう。」 「なぁ。」 「うん?」 「またいつか、この夕日見れたらいいな」 「ああ」 「あたし達の夕日を、な」 「ああ、そうだな」 「だから・・・握手とかはしねーぞ」 「・・・」 「永遠の・・別れみたいになるからな」 「じゃあ、ハグるんならいいか」 「は?」 「握手が駄目ならハグしかねーだろ。」 「・・・そうだな」 「じゃ、ハグったら、行けよ」 「ああ」 「そんで、『また今度』だ」 「・・・ああ」 そして少女は、戦争へ行った。少年は、ひたすら少女を待ち続けた。                             しかし、少女はもう二度と、帰っては来なかった。                                      あの日の夕日は、もう見れない――
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