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カチャカチャ…
「--…?」
あれ、ドアが開かない
いつもなら針金ですぐ開くのに
ゆっくりとドアノブを捻る
ガチャッ
「…開いてんじゃん」
何回やっても開くはずが無い
最初から鍵は開けられていたから
でも…誰が?
「グスッ…ヒック…」
一歩足を踏み入れると、すぐに人影が目に入った
泣いているようだ
小さな肩を震わせて、声を殺す様に泣いている
邪魔するのも悪いな
そう思い、屋上から出ていこうとした瞬間
「行か…ないでっ…」
振り返った女は、目に涙を溢れさせながら俺にそう言った
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