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すごく疲れてしまった。
僕はママの隣りで目を閉じた。
痛みもお腹が空くのも、もう何も感じなかった。
ゆらゆらと漂うようなぼんやりとした意識の中で、僕の閉じた瞳は確かに見た。
瞳の中に孝太がいた。
笑顔で僕を呼んでいた。
僕は驚いて急いで目を開けた。
目を開けるとそこに孝太はいなくて、目の前にはママがいた。
色褪せた写真のような、繰り返し見てきた変わらない光景だった。
僕はもう一度目を閉じてみた。
閉じた瞳の中にはやっぱり孝太がいた。
僕にはもうどっちが現実なのか解らなかった。
瞳の中の孝太は記憶の中の孝太と同じ笑顔で、僕に楽しい思い出を思い出させた。
このまま孝太のそばに行きたかった。
でも僕は目を開けた。
あの頃とは違うママの姿を見る。
一人ぼっちは嫌だけど、ママを一人ぼっちにするのも嫌だったから。
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