不気味

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「もしかして人を…いや、大切な人・・・それも唯一心を開く事が出来るような特別な人でも…捜してんじゃねぇのか?」 「!? なっ、なんで!?」 「おっ、やっとしゃべったな。それにその反応からみて図星だニヤリ」 「なんでわかんだよ!?」 「ハッ簡単な事だ。お前の体…というよりお前のコートや靴はひどく汚れているのに、その首から掛けたやたらデケェペンダントだけは全く汚れていない。それにお前ぐらいの背丈だと普通に見えるそのコートも、よく見れば女モンのだ。」 「・・・・・・・・」 「これらを仮定して考えてみりゃだいたい想像がつく。その潤滑なペンダントをくれたのは母親か姉で、お前は大切にしている。しかしその母親か姉は何らかの事情でお前の目の前でさらわれ、その場ではその人を奪い返せなかったものの、すぐに母親か姉のコートとその懐に入れた物騒なモンを持ち出し家を出て来た」 「・・・・・・・・」 「そして偶然ここを通ったのかはたまたここが目的地だったのかはわからないにしても、お前は犯人を追ってか情報を集める為かこの歌舞伎町に来ちまった。ってとこか?」 「・・・・・あぁ。」 「うおっまじかよ!オレってやっぱスゲェなぁおい!さすがエージェっつ…!」 「???」 「いや、ハハなんでもねーなんでもねー」 (あっっっぶねー!オレの秘密うっかりしゃべっちゃうとこだったよ!オレナイスファインプレー!!) 変な汗(雨?)をかいたクヒヒヒと笑う不気味な無精髭を見上げる色白の少年。 この出会いは偶然だったのか、あるいは必然だったのか・・・
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