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ある国の、ある森の中心に立ちつくす少女がいた。
少女は・・泣いていた
少女の涙は枯れることがなくこぼれ続ける。
その胸にあるのは後悔の念だけだった…
ザアアアアッ
突風と木々の葉の擦れる音が、彼女の嗚咽を掻き消す。
誰も、自分の嘆きを聞く物などいない……
そう、自責と孤独の沼に浸っている時だった。
ポロロンッポロロンッ
「──何?」
少女は思わずハープと思われる、謎の音色に疑問の言葉が漏れる。
ずっと泣いていたせいか、それは酷くしゃがれていた。
ハープのような音と共に誰かの美しい歌声が聞こえてくる。
すると遠くの方に見えたのは美しい女性
彼女は少女に微笑みかけながらこう言った
「待っていたわ、貴方の事を。」
少女はきょとんと不思議そうな顔をしながら女性の方へゆっくりと歩み寄った。
「私は銀琴の弾き手…」
「銀琴の弾き手……?」
少女は女性に聞き返した。
待っていた、ということは少なからず自分に関係しているのではなかろうか。
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