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だが、銀琴の弾き手……聞いたこともない。
それに、ここまで人間離れした美しい人を見れば、忘れないだろうに。
「私は、世界の終焉を奏でる物──慟哭の少女よ、共にこの世界を終わらせよう」
美しい女性――銀琴の弾き手に言われた『慟哭の少女』という言葉……
そんな言葉を少女は聞いたことがなかった…
だが何故かその言葉を聞いた途端、心臓の鼓動は高まり頭に不思議な映像が流れてくる。
幼かった、あの日の……
人生で最初の、絶望。
「ッ!まさか、あの時の……」
少女はその浮かんだ記憶に、はっと銀琴の弾き手の持つ銀色の琴に目を落とす。
見覚えが、ある……
『悲しみの旋律──慟哭の少女よ、この世界を終わらせる権限を貴女に渡しましょう』
「昔、約束しましたよね」
女は妖艶に笑う。
――そうだ
少女は遠い日の記憶を思い出した。
銀琴の弾き手が言った言葉を今一度思い返す。
『この世界を終わらせる権限を貴方に…』
少女は震えた…
だがそれは恐怖によるものではない…
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