1章『慟哭の少女』

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だが、銀琴の弾き手……聞いたこともない。 それに、ここまで人間離れした美しい人を見れば、忘れないだろうに。   「私は、世界の終焉を奏でる物──慟哭の少女よ、共にこの世界を終わらせよう」 美しい女性――銀琴の弾き手に言われた『慟哭の少女』という言葉……   そんな言葉を少女は聞いたことがなかった…   だが何故かその言葉を聞いた途端、心臓の鼓動は高まり頭に不思議な映像が流れてくる。 幼かった、あの日の…… 人生で最初の、絶望。   「ッ!まさか、あの時の……」   少女はその浮かんだ記憶に、はっと銀琴の弾き手の持つ銀色の琴に目を落とす。   見覚えが、ある……   『悲しみの旋律──慟哭の少女よ、この世界を終わらせる権限を貴女に渡しましょう』   「昔、約束しましたよね」   女は妖艶に笑う。 ――そうだ     少女は遠い日の記憶を思い出した。     銀琴の弾き手が言った言葉を今一度思い返す。     『この世界を終わらせる権限を貴方に…』     少女は震えた…     だがそれは恐怖によるものではない…  
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