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「君が……!
君がいけないんだ!
抵抗なんかするから……!
僕は君を………君を愛していただけなのに……!!」
なんて身勝手な台詞なんだろう
なんて我が儘な台詞なんだろう
男は、御定まりの台詞を吐いた後、逃げる様に、その部屋から出ていった
残された少女は、頭から血を流しながら、床に倒れていた
………動かない手
動かない足
動かない胸
動かない心臓
………動かない身体
薄れゆく意識の中で、少女が感じた事は
「………ああ、床が冷たくて気持ち良いなあ」
そして少女の意識は、その部屋と同じ様に
真っ暗になった
外では、何事もなかったかの様に、アブラゼミが
残り少ない命を燃やしながら
せわしなく鳴いていた
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