姉の技はとても痛くて残酷で~たびたび~

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明るい…… 明るい……… まだ太陽が落ちていない、17:03 シンジは家の前で、ドアを開けるのを躊躇っていた また……… また膝が来るかもしれない いや、九割九分確実に来る シンジは、そう感じていた そしてシンジは、頭の中で何度も怒られるシュミレーションを繰り返していた 『味噌が切れてる!』 ドガッ 『お気に入りのTシャツが洗濯で縮んだ!』 メキャ 『空が青い!』 ドガシッ シンジは46通りの怒られる理由を考えついていた 或いは……… もしかしたら……… マトイはデートをしているのだから、帰っていないのかもしれない 今日は帰らないのかもしれない 等とは シンジは考えなかった 何故ならマトイは どんな理由があろうとも どんなトラブルがあろうとも 夕ご飯だけは、必ずシンジと一緒に食べるのだ 仕事で残業する時も、一度家に帰ってきて、シンジと夕ご飯を食べてから、また出勤する 一年前、シンジが盲腸で入院した時も、夕ご飯を病院に持ち込み、シンジと一緒にご飯を食べていた ……一度、シンジがマトイに尋ねた事があった 『何で、そんなに夕ご飯にこだわるの?一人でご飯食べるくらい平気だよ』 そしてマトイから返ってきた答えは一言だけ…… 『…………家族だから』
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