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シンジは大きく息を吸い込んで、ほんの少しだけ胸に留めて吐き出した
『大丈夫……大丈夫……
開けたらすぐにドアの後ろに隠れたら……
大丈夫……大丈夫……』
シンジは、自分に言い聞かせる様に、何度も何度も繰り返した
それでも、なかなか決断は出来ない
だが、シンジには分かっていた
早くドアを開けないと、門限を破る事になってしまう
そうなれば………
シンジはキッと目を見開き
家のドアを開け
素早くドアの後ろに身を隠した
…………
………………
……………………?
………不思議な事に、膝は飛んで来なかった
いやいや、普通は飛んできませんがね?
シンジはゆっくりとドアから顔を出し、家の中を覗いた
…………マトイはいない
いや違う、台所の方で物音がする
シンジは、ホッと胸を撫で下ろし、家の中に入った
「ただいま~」
だがそこには
シンジが描いたシュミレーションよりも
遥かに衝撃的な映像が待ち構えていた
台所でコップを洗っているマトイを
見覚えのある男が、後ろから今にも抱きしめようとしていたのだ
シンジは
『……後10分、外で待っとけばよかった』
と
ひたすら後悔した
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