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「あ……あの………」
シンジは、その男を知っていた
ルルの最期を看取ってくれた動物病院の粕川辺ハルヤ先生………
今日、マトイとデートの約束をしていた男だ
ハルヤは、マトイの傍からゆっくりと離れた
「やあ、……シンジ君……だったかな、お邪魔してます」
と、ハルヤは爽やかに挨拶した
シンジは戸惑いながら
「あの…………ドモ………」
と返した
シンジが、そんな中途半端な返事しか出来なかったのは
ハルヤの後ろの
マトイの顔を直視出来なかったからだ
だがマトイは
「お帰りなさい、シンジ
早かったわね」
と
優しく声をかけてきた
………優しく声をかけてきたので
シンジは流れる冷や汗を止める事が出来なかったのだ
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