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「じゃあ………僕は………これで……
お茶、ごちそうさま」
ハルヤは、軽くマトイに会釈して、帰り支度をしだした
シンジは
『待て……!待て……!!
行くな!帰るな!!姉さんと二人っきりにするな!!!』
と心の中で、叫び声を上げた
だが無情にも
嗚呼、無情にも
「それじゃあ、マトイさん、また………」
バタン………
ハルヤは、爽やかに帰っていった
残されたシンジは、恐る恐るマトイの顔を見た
その顔は、恐ろしい程にこやかで
シンジの顔は引き攣った
「………じゃあ、シンジ?
………ご飯にしよっか?」
「………はい」
殴られたり
蹴られたり
関節をキメられたりしない分
シンジの恐怖は増すばかりだった
「ふふふ~んふ~ん♪」
マトイは上機嫌で台所に立っていた
シンジは居間で
カタカタと震えながら
親指の爪を噛みながら
脂汗をかきながら
まるで最期の審判を待つ咎人の様に
マトイの料理を待っていた
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