第20章―帝国の歌姫―

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「あらあらせっかちさんねぇ……」 ナイフを向け、戦意を剥き出しにするコアに対し武器も出さず飄々と立っているユニットゼロの女……。 「……」 「まぁいいわ。どうせ暇つぶしだし。気楽にいきましょうか」 コアは低姿勢を維持したままユニットゼロの女に接近し頸動脈を切断しようとするが軽くかわされて右腕を掴まれた。 「うっ!?」 「あぁ、私名乗ってなかったわね。第零部隊所属アディーネ=レミントワ」 アディーネと名乗った軍人はコアの首に左手をあてがう。 「暗殺専門の暗器使いよ」 左手の袖からダガーナイフの刃が飛び出すが、コアは間一髪上半身を反らし、刃は顔を掠めてゆく。 数回後方転回で交代した後ナイフを構え直すが……アディーネの姿が見当たらない。 「もーらった」 「気配が感じられない……!?」 後方へ回り込んだアディーネに手首の刃で攻撃されるが上半身を下げて回避する。舞い上がった青い髪が多少切られ風に流される。 「へぇ、いい反応速度じゃない」 「うあっ!」 隙だらけの体勢をとってしまったため蹴り飛ばされ、地面を転がり仰向けに倒れるが直ぐに飛び起きる。 (速すぎる……反応しようと思っても体がついていかない……!) 「ま、反応速度はいいけど……暇潰しにもならないわねぇ、これじゃあ」
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