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それとフェイトを交互に見た後、ティアは一旦パンを置き、皿に様々な料理を盛りつけていく。
色合いやバランスなどまったく考えていない様子ではあるが、とにかく盛りつけフェイトのところまで戻ってくると、フォークで刺したステーキをフェイトの口元までゆっくりと持ってゆく。
「フェイト……口開けて……」
ステーキを自分に食べさせたいのだと気づいたフェイトは目を丸くしつつも口を開けた。
「よい、しょ……」
寸分違わずステーキはフェイトの口に優しく丁寧に運ばれ……、少々照れているフェイトの目の前で、ティアは無表情ながら頬を赤くし、次のステーキをフォークで刺していた。
怪我をしているフェイトへの気遣い……。自分も相当空腹なのだがそれよりもフェイトを優先する。
恩返し等ではなく、ただこうしてあげたいという思いからの行動……昔ならこんなことはあり得なかっただろう。
「ん……んぐ」
「おいし……?」
「ん、ああ。美味いよ」
「美味しそう……」
「俺に気ぃ遣わなくていいから食べな。お前も腹減ってんだろ」
「はぐ」
「早ェなオイ」
刺したステーキをフェイトではなく自分の口に運び、食べる。何故かフォークを口の中に居残らせ、ゆっくりと、味を確かめるように引き抜いていく……。
「ん……間接キス……」
「間接って、お前なァ……」
「んふ」
その恋人同士のようなそうでないようなやりとりを、コアとルリは遠目に観察していて……。
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