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やっとヒールの踏みつけから解放されたツヴァイはため息をつきつつ体勢を整える。
「あかん……ヒールは痛いわ……」
「おいエロ狐。お前は本当に馬鹿だな。馬と鹿と書いて馬鹿だな。どうしようもないな、死ね。死んでしまえ」
「ちょっ、なんか機嫌悪そうやね……」
あまりの冷たい目に少しばかり反省しつつもツヴァイはワインを一口。
「お兄さん取られてご機嫌斜めかいな」
「……そんなことはない」
「うそこけい。部隊の中でも一番あいつを慕っとったお前や。ええ気はせんやろ。ぽっと出の女の子に兄貴分取られんのは」
「……」
コアはむぐ、と黙ってしまい、黙々と食事を進める。
「コアさんはあの子の事、好きなんですか?」
だが、ルリの直球な質問によりフォークを加えたまま目を丸くしてしまう。
「コアは……部隊に入れてもらったときから兄ぃをずっと慕っていた……。部隊が解体されて帝国からも追放され共和国軍に入ってからもずっと……。昔っから不器用だけど真っ直ぐな兄ぃがコアは……うん。好きなんだろうな、これは……。コアは好きじゃない男に料理を作ったりしない」
「うお、これはまた直球な回答ですね。姉さんはまたまた複雑な心境です。あの男、歌姫さんだけでなくコアさんまでたぶらかしていたなんて」
「たぶらかされてはいないぞ。コアが勝手に好意を寄せているだけだ」
「行為やとっ!?」
「黙れ狐。お前はまだ死んでないのか」
「くっ……」
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