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彼女が近寄るといかなる猛獣であろうとも尻尾を巻いて逃げると言われている鬼神だが……。
「あらあら、フゥ君たらそんなに小さくて可愛いガールフレンドが?」
「いや、妹ッスよ。アゼルっていう……」
「アゼルちゃん?」
「あいっ」
「まぁ……!」
ぴしっと手を挙げて返事をした白い長髪のキュートな少女に心を奪われ、とろけた笑顔でアゼルを抱き上げるその姿からは鬼神などと呼ばれている理由など、見あたるはずもなく……。
「あの人が帝国陸軍の一角をぶっ潰したとは到底思われへんなぁ」
「あ? どーいうこった。最近か?」
「今回、ティアちゃん奪還のために帝国に攻め入る前に姉御が帝国周辺基地の撃破をゼイルさんに頼んだんや」
「あー……だいたいわかった。もう言うなよ。今以上に距離を置きたくなる」
ツヴァイとフェイトは一緒にゼイルに畏怖の念をありったけ込めて視線を送る。
「んー、うふふふふ。なぁに二人して熱い視線。お姉さん困っちゃうわ~」
「お姉さんて……」
「見た目はそうだからあんま言えねェけど年齢的に無理があるだろ……」
あきれた風にそう言った二人は尋常ではない殺気を感じ取る。
……が、そこに口元にソースをつけたティアが走り寄ってきて……。
「フェイト……大丈夫?」
「ああ、お前……口元にソースついてんぞ」
フェイトはハンカチを取り出してクッと少し力強く拭いてやった。
「んっ」
「迂闊だなーお前」
「私が迂闊でもフェイトがちゃんと拭いてくれるんでしょ……?」
「まぁ……な」
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