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問い詰めてもわからないの一点張りで、本当にわからないようである。
フェイトは多少呆れながら、再び料理を取りに行くティアを見送り、広く大きなベランダへ……。
「あー……頭痛ェ……」
さわやかな夜風に髪を乱されながら明かりが灯る街を眺め、手すりに体を預ける。戦いのダメージが抜けきっておらず、体中に痛みが残る。
「兄ぃ」
「ん?」
一人でベランダへ出て行ったフェイトに気づき追いかけてきたコアはジュースが入ったコップを渡し……。
「おお、気が利くねェ。ほかの奴は酒しか勧めてこねェからな」
「兄ぃの好みはよく知っている……」
正面から体を預けているフェイトの隣に、手すりへ背を預けて落ち着く。
「兄ぃ……お疲れ様」
「はは、なんだよ今更」
「兄ぃはやっぱり強くていいな……」
「強くていいってことはねェよ。なんだかんだで結局プラスマイナスゼロだぜ」
「そう言う意味じゃない……えっと。強くて素敵だなって言いたかったんだ」
コアは微笑みもせず、いつものように無表情ではあるが頬を赤らめぐいぐいと酒を飲んでいる。
薄暗いのでフェイトはそれを自分と同じジュースだと思っており止めることはなく……。
「ひっく」
「ひっく?」
「うぅ……。兄ぃはやっぱりあの灰色の女がいいのか?」
「灰色? ティアのことか? いいっつぅか……旅の連れだからな」
「旅の連れ? 旅の連れはあれか……彼女とかそういう……なんだ。キスとかチュゥとかしちゃう関係とか……とか?」
「コア? お前まさかそれ酒か?」
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